日本酒入門|純米大吟醸は本当に一番?精米歩合・地域・獺祭を女将が解説【秋葉原 うさぎつね】

はじめに|女将からごあいさつ

いらっしゃいませ。秋葉原の日本酒ガールズバー「うさぎつね」です!

「日本酒って、種類が多くてよく分からない」「ラベルに“純米大吟醸”とか“本醸造”とか書いてあるけれど、何が違うの?」。

カウンター越しに、そんなお声をよくいただきますが、ご安心ください!
日本酒は、いくつかの“お約束”さえ知ってしまえば、一気に面白くなるお酒なんです。

秋葉原でオタクのみなさまが、スペック表やレア度を読み解くのが得意なように、日本酒にも「精米歩合」という、とても分かりやすい数字のスペックがあるんです!

この数字を覚えるだけで、ラベルがぐっと読めるようになりますよ。

この記事では、次のことを順番にお話しします。

  • 精米歩合ってなに? 数字が小さいほど偉いの?
  • 純米・本醸造・吟醸・大吟醸の違い(全8種類を一覧表で)
  • 「純米大吟醸がいちばん美味しい」は本当?
  • 地域ごとの味の傾向
  • 獺祭(だっさい)は、いったいなにがすごいのか
  • 温度の楽しみ方と、おでん・お出汁との相性

お酒をあまり飲まれない方も、ゆっくり読んでいってくださいね。

第1章|まずは「精米歩合」を知ろう!

日本酒の基本の材料は、お米・米麹(こめこうじ)・水の3つです。
ここに「醸造アルコール」を少し加えるお酒もあり、この違いがあとで出てくる「純米」と「本醸造」の分かれ目になります。

そして、日本酒のスペックでいちばん大切なのが精米歩合(せいまいぶあい)です。

精米歩合は「削ったあとに、どれだけ残ったか」

なぜお米を削ると雑味が減るのか?外側には雑味、中心ほどきれいなお酒になります

お米は、外側に近い部分ほど、たんぱく質や脂質がたくさん含まれています。

これがお酒になると、「雑味」として出やすいんです。
そこで、お酒に使うお米は外側を削って、きれいな中心部分を使います。この削る作業が「精米」です。

精米歩合は、削ったあとに残った割合を表します。ここが少しややこしいところで、数字が小さいほど、たくさん削っているということになります。

日本酒入門「精米歩合」。たくさん削るほどすっきり、お値段もその分高くなります
  • 精米歩合90%:ふだん私たちが食べる白いごはんとほぼ同じ(外側を1割削った状態)
  • 精米歩合60%:お米の4割を削った状態
  • 精米歩合50%:お米の半分を削った状態
  • 精米歩合23%:お米の77%を削り、中心の23%だけを使った状態

ゲームでたとえるなら、「素材を何度も精錬して、純度を上げていく」ようなもの。
削るほど、すっきりきれいで、華やかな香りのお酒になりやすいのです。

磨くほど、お値段も上がるわけ

お米を削るには、時間も手間も電気代もかかります。
しかも、削った分だけ、1本のお酒に必要なお米の量は増えてしまいます。

ですので、よく磨いたお酒ほど、お値段が高くなる傾向があります。

ただし、ここで大事なお話を。
「高い=あなたにとって美味しい」とは限りません。

それは第3章でゆっくりお話ししますね。

第2章|純米? 本醸造? 吟醸? 8つの名前の見分け方

ラベルに書かれている「純米大吟醸」「本醸造」といった名前は、特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)と呼ばれ、原料と精米歩合で決まっています。

全部で8種類ありますが、実は次の2つのルールだけで整理できます。

まずは知っとこう!2つのルール

  • 「純米か?純米以外か?」:純米とつけば、醸造アルコールを加えていない(お米・米麹・水だけ)
  • 精米歩合の数字:大吟醸は50%以下、吟醸は60%以下、本醸造は70%以下
特定名称酒8つの名前の見分け方

名称醸造アルコール精米歩合味わいのイメージ
純米大吟醸酒なし50%以下華やかな香りと、澄んだ上品な味わい
純米吟醸酒なし60%以下フルーティーな香りと、お米の旨みの両立
特別純米酒なし60%以下、または特別な製造方法蔵の個性が出やすい、旨みのあるタイプ
純米酒なし規定なしお米のふくよかな旨みとコク
大吟醸酒あり50%以下香り高く、すっきり軽やか
吟醸酒あり60%以下上品な香りと、軽快な飲み口
特別本醸造酒あり60%以下、または特別な製造方法軽快でキレのよい味わい
本醸造酒あり70%以下すっきり辛口、料理を選ばない

「醸造アルコール入り」は、手抜きじゃないよ!

「アルコールを足すなんて、安いお酒なの?」と心配されるお客様がいらっしゃいますが、そんなことはないんです!

吟醸酒や大吟醸酒に加える醸造アルコールは、お酒を増やすためではなく、香りを引き立て、すっきりとした飲み口にするための工夫です。

量にも決まりがあり、白米の重さに対して10%以下とされています。

ですから、「純米」と「アル添」は、上下ではなく好みの違い。
ふくよかな旨みなら純米、軽やかでキレのよさなら本醸造や大吟醸、という選び方もできますよ。

ちょっと豆知識。

純米酒には、昔は「精米歩合70%以下」という条件がありました。

これが2004年になくなり、今では低く磨いたものから、あえてあまり磨かないものまで、個性豊かな純米酒が楽しめるようになっています。

第3章|「純米大吟醸がいちばん美味しい」は本当?

結論から言うと、純米大吟醸は「いちばん手間と贅沢をかけたお酒」ではありますが、「いちばん美味しい」とは限りません。

美味しさは、お好みとお料理、そして飲む温度で変わるからです。

たとえるなら、ゲームの「最高レア」。
強くて華やかですが、すべての場面の最適解とは限りませんよね。パーティの構成や相手によって、ベストなキャラクターが変わるのと同じです。(お酒でいうと、季節とか料理とかとの相性だね)

純米大吟醸の持ち味

  • お米を半分以上削っているので、雑味が少なく、澄んだ味わい
  • りんごや洋梨、メロンを思わせる、華やかな香り(吟醸香)
  • 10〜15度くらいに冷やすと、香りと透明感がいちばん映える

向いている場面、そうでない場面

華やかな香りは、1杯目の乾杯や、お刺身、白身魚、おひたしのような繊細なお料理にぴったり。

いっぽうで、香りが強いぶん、味の濃いお料理や煮込みとは、主張がぶつかってしまうことがあります。

そんなときの頼れる存在が、純米酒や本醸造です。お米の旨みがしっかりしていて、常温やぬる燗にすると、ふくらみが増します。
お出汁を使ったおでんや、じっくり煮込んだお料理とは、とても相性がいいんですよ。

迷ったら、こう選んでみよう

日本酒は好みを探す旅
  • 華やかで飲みやすいほうが好き → 純米吟醸、純米大吟醸
  • お米の旨みとコクが好き → 純米酒、特別純米酒
  • すっきり辛口で、食事と合わせたい → 本醸造、特別本醸造
  • まずは何を選べばいいか分からない → 純米吟醸から。香りと旨みのバランスがよく、入門にぴったりです

日本酒は、「正解の1本」を探すお酒ではなく、自分の好きな味を見つけていくお酒です。

うさぎつねでも、お客様のお好みをうかがいながら、日替わり飲み放題5種類を、あれこれ飲み比べを楽しんでいただいております。

第4章|地域ごとの個性を知ると、飲み比べが楽しくなります

日本酒は、造られた土地の水、お米、気候、そして蔵の歴史が味に出るお酒です。
いわば「ご当地ステータス」。ここを知っておくと、旅行気分で飲み比べができますよ。

水がちがえば、味もちがう

日本酒の約8割は水と言われ、水の性質が味を大きく左右します。

  • 硬水(ミネラル分が多い):発酵が活発になり、キレのある辛口になりやすい
  • 軟水(ミネラル分が少ない):発酵がゆっくり進み、やわらかく優しい味わいになりやすい

主な産地の傾向

産地味わいの傾向ひとことメモ
新潟すっきり淡麗、辛口雪国ならではのきれいな水。日本有数の酒蔵の数を誇ります
兵庫(灘)しっかりとコクのある辛口「宮水(みやみず)」と呼ばれる硬水が有名。酒米の山田錦の本場でもあります
京都(伏見)きめ細かく、やわらかい軟水を生かした、やさしい口当たり。「女酒」とも呼ばれます
広島やわらかく、上品な甘み軟水で上手に仕込む技術が、明治時代に確立されました
山形華やかな香りの吟醸酒吟醸酒づくりが盛ん。「山形」は地理的表示(GI)にも指定されています(ワインでいうボルドーみたいな、メロンでいう夕張メロンみたいな)
福島すっきりと、きれいな味わい全国新酒鑑評会で、上位の常連として知られます
高知辛口で、お料理を引き立てる土佐の食文化に合わせた、杯の進む食中酒が多い傾向です

なお、これはあくまで「傾向」です。

同じ県でも、蔵によって、使うお米も、酵母(お酒を造る微生物)も、造り方もさまざま。「新潟だからすべて辛口」とは言えないところが、日本酒の奥深さでもあります。

飲み比べのコツ

同じ「純米吟醸」でも、産地や蔵が違うと、驚くほど表情が変わります。

うさぎつねでは、日替わりで日本酒を数種類ご用意しておりますので、気になる土地の味をいくつか試して、お好みの傾向を見つけてみてくださいね。

第5章|獺祭(だっさい)は、なにがすごいのか

日本酒にくわしくない方でも、名前はご存じのことが多い「獺祭(だっさい)」。
山口県の旭酒造(あさひしゅぞう)が造るお酒です。

これまでの日本酒の知識を振り返りながら、人気の理由を、順番に見ていきましょう。

すごさ1:山田錦を、ここまで磨いた

獺祭は、お酒用のお米の王様とも呼ばれる山田錦を使い、純米大吟醸に絞って造られています。
大吟醸の条件は精米歩合50%以下ですが、獺祭は当時から、さらに踏み込んだ磨きを打ち出しました。

  • 磨き45(精米歩合45%):獺祭のスタンダード。初めての方に
  • 磨き三割九分(精米歩合39%):蜂蜜を思わせる甘さと、純米大吟醸らしい華やかさ
  • 磨き二割三分(精米歩合23%):お米の77%を削り、中心の23%だけを使う。余韻の長さが持ち味
  • 磨き その先へ:精米歩合は非公開。旭酒造の最高峰として位置づけられています

名前の「二割三分」は、そのまま精米歩合のこと。
ラベルを見ただけでスペックが分かる、親切な名づけですね。

すごさ2:日本酒を知らない人にも届く味

獺祭は、すっきりと飲みやすい現代的な味わいで、それまで日本酒に馴染みのなかった方にも広く受け入れられました。
「白ワインのように飲める日本酒」として、ワイン好きの方にも広がったと言われています。

すごさ3:酒造りのスタイルそのもの

旭酒造は、かつて経営が傾きかけた酒蔵を、現会長の桜井博志さんが引き継いだところから大きく変わりました。
純米大吟醸に特化し、1992年には東京へ進出。のちに地上12階建ての酒蔵ビルが完成し、年間の生産量は3万5000石に拡大しました。

職人の勘だけに頼らず、データを大切にした酒造りでも知られています。

名前の由来にも、ひとひねり

「獺」はカワウソのこと。

蔵のある地名「獺越(おそごえ)」にちなみ、また、俳人・正岡子規が使った号「獺祭書屋主人(だっさいしょおくしゅじん)」にも通じる名前です。

カワウソが獲った魚を岸に並べる様子を、お供えものを並べる祭りになぞらえた言葉で、資料を広げて創作に打ち込む姿を表しているんですよ。

オタクが推しの資料を並べて語りだす姿に、ちょっと似ていますね!

「磨けば磨くほど美味しい」わけではありません

ここでも、第3章のお話が生きてきます。

獺祭の中でも、いちばん磨いたものがすべての方にとって一番とは限りません。

精米歩合45%のものがバランスがよく、コストパフォーマンスにも優れると感じる方も多く、一方で、磨き二割三分は雑味がなく、きれいすぎるほど澄んだ味わいなので、好みが分かれることもあります。

つまり獺祭は、「磨きの違いを、自分の舌で比べる」入門にもぴったりのお酒なのです。

第6章|温度で味が変わる。小料理・お出汁との相性

日本酒のおもしろいところは、同じお酒でも、温度で表情が変わること。
ゲームでいう「形態変化」のようなものです。

温度の呼び名は、風情たっぷり

温度の目安呼び名楽しみ方
約5℃雪冷え(ゆきひえ)キリッと冷たく、すっきり
約10℃花冷え(はなひえ)純米大吟醸、純米吟醸の香りが映えます
約15℃涼冷え(すずひえ)香りと味のバランスがよい温度
約20℃常温(冷や)純米酒のふくらみを感じやすい
約40℃ぬる燗純米酒の旨みが開く、おすすめの温度
約50℃熱燗本醸造などの、キレのよいお酒と好相性

華やかな純米大吟醸は冷やして、お米の旨みがしっかりした純米酒は常温からぬる燗で。これを覚えておくだけでも、味わい方の幅が広がりますよ。

小料理・お出汁と日本酒の相性

日本酒は、お出汁と同じ「旨み」を持っているので、和食と相性がとてもいいお酒です。

お料理おすすめの日本酒温度合わせ方のひとこと
おでん旨みのしっかりした純米酒ぬる燗お出汁の旨みとお酒の旨みが重なります
だし巻き卵純米酒、純米吟醸常温〜少し冷やして卵のやさしい甘みとお出汁に、やわらかな味わいのお酒を
筑前煮特別純米酒、純米酒ぬる燗〜熱燗甘辛い煮物には、コクのあるお酒が負けません
煮びたし純米吟醸、本醸造冷やして〜常温薄味のお出汁を邪魔しない、穏やかな香りのお酒で
茶わん蒸し純米酒ぬる燗ほっこりした口当たりに、温かいお酒がよく合います
なめたけ本醸造、特別本醸造冷やでもお燗でも甘辛い味を、キレのよい辛口がすっきり流します
にこごり純米吟醸よく冷やして冷たいお料理には、冷たいお酒を。煮汁の旨みを、ほのかな香りが引き立てます
白米・味噌汁純米酒ぬる燗締めの一杯に。日本酒もごはんも同じお米、味噌も発酵の仲間です

うさぎつねでは、冬場にはおでんと、日替わりの日本酒を一緒に楽しんでいただけます。
お出汁で割る名物の「出汁割り」も、ぜひお試しくださいね。

美味しく、楽しく飲むために

日本酒を飲むあいだに、お水(和らぎ水)を一緒に飲むのが、通のたしなみです。

口の中がさっぱりして、飲みすぎも防げますよ。おいしいお酒は、ゆっくり、楽しく、ほどほどに。なお、20歳未満の方の飲酒は法律で禁じられています。

よくあるご質問

さあ、最後におさらいです!
日本酒入門、お楽しみいただけましたか?

日本酒の「精米歩合」とは何ですか?

お米を削ったあとに残った割合です。精米歩合50%なら、お米の半分を削って、中心の50%を使っています。数字が小さいほど、たくさん磨いたお酒になります。

純米大吟醸が、いちばん美味しいの?

いちばん手間をかけたお酒のひとつですが、いちばん美味しいかどうかは好みと、合わせるお料理次第です。
華やかな香りを楽しみたいときは純米大吟醸、お料理と合わせて旨みを楽しみたいときは純米酒、というように使い分けると、日本酒がより楽しくなります。

日本酒が初めてです。何から飲めばいいですか?

香りと旨みのバランスがよい「純米吟醸」から始めるのがおすすめです。
そのあとで、すっきり系の本醸造や、ふくよかな純米酒など、お好みに合わせて飲み比べてみましょう。

吟醸酒と本醸造酒は、どちらが上ですか?

優劣ではなく、造り方と味の方向が違います。
精米歩合は吟醸酒が60%以下、本醸造酒が70%以下。吟醸酒は華やかな香りが、本醸造酒はすっきりとキレのよい味わいが持ち味です。

獺祭の精米歩合は、いくつですか?

獺祭には、精米歩合45%、39%、23%のものがあり、さらに精米歩合を公表していない「磨き その先へ」があります。

日本酒初心者でも、うさぎつねを楽しめますか?

もちろん大丈夫です。お客様のお好みをうかがいながら、日替わりの日本酒を一緒に選びます。お一人様でのご来店も歓迎いたします。

うさぎつねのご案内

秋葉原で、「ちょっと変わった飲み屋」や「大人がしっとり楽しめるガールズバー」をお探しなら、日本酒ガールズバー「うさぎつね」へどうぞ。

メイドカフェやコンカフェとは一味違う、和の落ち着いた雰囲気です。
着物姿のスタッフが、日替わりの地酒やビール、女将の手作り小料理で、ゆったりと給仕いたします。

  • 店名:秋葉原の日本酒ガールズバー うさぎつね
  • 住所:東京都千代田区神田佐久間町 1-16-1 大橋ビル504
  • 営業時間:18時〜23時(無休)
  • 電話:03-3525-4237
  • アクセス:駅から徒歩30秒。乗り換えのついでや、終電までの「あと一飲み」にも
  • お楽しみ:日替わりの日本酒、生ビール、女将手作りの小料理、出汁割りなど

この記事を読んで、気になった日本酒があれば、ぜひカウンターでお声がけくださいね。